「片肌を脱ぐ」って何?阿波踊り衣装徹底解説!【女踊り着付け編】
こんにちは、『阿波踊り用品専門店 岡忠』です!
阿波踊りの本場徳島にて阿波踊り衣装や鳴り物、用品を製造・販売しており、スタッフのほとんどが阿波踊り連の踊り子、鳴り物をしている阿波踊り漬けの会社です。
そんな1年中阿波踊りにまみれている岡忠から
本日は、阿波踊り衣装の相談でよく聞く『片肌を脱ぐ』とは?をテーマにお届けします!
目次
片肌を脱ぐって何?
・「片肌を脱ぐ」とは着付け方の一種
阿波踊りでいう「片肌を脱ぐ」というのは、女踊りの着付け方の一種です。
「片方の浴衣の袖を脱いで、中に着ている半襦袢を見せる」という着付け方になります。
「片方の浴衣の袖を脱ぐ」とは、いうなれば、”遠山の金さん”のようなイメージ。
元々は、着物が普段着の時代、一仕事する際に、着物の片袖を脱いで、片方の肩肌をあらわにしていたことを「片肌を脱ぐ」と言っていたことからついた呼び名だと推測されます。
(ご提供:いらすとや様)
「片肌を脱ぐ」着付け方に必要な『半襦袢』
『片肌を脱ぐ』着付け方をする場合は、『半襦袢(はんじゅばん)』が必須となります。
通常、半襦袢とは、和装でいうと「下着」の部類になりますが、阿波踊りでは見せる着付け方をします。
・「片肌を脱ぐ」と「片肌を脱がない」着付け方
では、「片肌を脱がない」着付け方と具体的にどのように見た目が異なるのか具体的に写真を見ながらで確認して参りましょう!
1.「片肌を脱がない」着付け方
外側に見えているのは「ゆかた」だけ。
半襦袢は見えていませんね。このような着付け方をする場合は、半襦袢は不要です。
2.「片肌を脱ぐ」着付け方
ピンクの半襦袢が見えていますね。
ゆかたの右の袖を脱いでいます。どちらの袖を脱ぐのかも連・団体によって違うんですよ。
「片肌を脱ぐ」時の暗黙のルール
さて、ここまでで「片肌を脱ぐ」には「半襦袢」がキーポイントとなることがわかりました。
しかし、さらに踏み込んでご説明をすると「片肌を脱ぐ」衣装には、もうひとつ暗黙のルールがあります。
下の2つの画像は両方ともに「片肌を脱ぐ」着付け方をしています。
この共通点が「暗黙のルール」読解の糸口になります。
どの部分が共通点かおわかりになりましたか?
・・・正解は!
「半襦袢」と下半身部分の「すそよけ(おこし)」が同じ色であるということ!
「半襦袢」と「すそよけ」はセパレートになっていますが、同じ色のものを選びます。
こちらも理由がありますので後程解説いたしますね。
半襦袢とすそよけの関係
・すそよけとは?
まず、『すそよけ』とは何かを説明いたしますと、こちらもなんと和装で言う「下着」なんです。
阿波踊りの女踊り衣装は、下画像のようにゆかたをからげて(まくり上げて)すそよけを見せる着付け方をします。
これは、片肌を脱ぐ・脱がない関係なく、女踊り衣装はこの着付け方です。
(ゆかたのからげ方は連・団体により様々あります)
・どうして「半襦袢」と「すそよけ」は同じ色なの?
では、なぜ「半襦袢」と「すそよけ」は同じ色でなのでしょうか。
実は、元々「半襦袢」と「すそよけ」は1つの繋がっているものだったから。なんですね。
その名も「長襦袢」というものになります。
下画像のようなイメージですね。
「半襦袢」+「すそよけ」=「長襦袢」
おそらく和装を嗜まれる方はこちらの「長襦袢」の方がよくご存知なのではないでしょうか。
これを着付けやすく動きやすく、セパレートにしたものが「半襦袢」と「すそよけ」になります。
「半襦袢」と「すそよけ」が同じ色なのは、「長襦袢」を着ているように見せているから!なのです。
・阿波踊りは「長襦袢」ではダメなの?
阿波踊りでも昔は「長襦袢」を着用していましたが、腕を高く上げ、足を蹴り上げ激しく踊る阿波踊りでは、セパレートになっているものが動きやすく重宝されるようになりました。
また、阿波踊りではゆかたをからげて、襦袢の裾を見せる独特の着付け方をするので、サイズの調整がしやすいセパレートタイプが広まっていきました。
・後ろ姿はどうなっているの?
では、「片肌を脱ぐ」着付け方をした場合の、『脱いだ片方のゆかたの行方』ですが・・・
このように脱いだ袖を背中にに回し、折りたたんで帯に差し込んでいます。
この差し込み方も連によりそれぞれこだわりがあります。
・まとめ
いかがでしたでしょうか。
「片肌を脱ぐ」着付け方の中でも、連の数だけ様々あります。
独自の変化を遂げてきた阿波踊りは、踊りはもちろんのこと、着付け方にも注目するとまた異なった楽しみ方ができるのでお勧めです。
ぜひ、次回阿波踊りを見られる際は、「片肌を脱いでいるか」に注目してみてくださいね!