昭和35年、はじまりは小さな呉服屋でした。

先代の社長、岡本忠が24歳の時、修業先の呉服屋から独立し、創業に至りました。呉服屋を開業すると間もなく、蜂須賀連へと入連し、阿波踊りの世界へと足を踏み入れていくこととなります。

　創業から2年、呉服の商売も軌道に乗ってきた頃、はじめて阿波踊りの衣装を請け負うことになります。しかし、はじめて手がけた阿波踊り衣装は、雨により色が落ちてしまうという大失敗でした…

阿波踊りの衣装は、呉服で扱う正絹のきものとはわけが違い、苦労の連続でした。しかし、呉服屋として、そして阿波踊りをしているからこその使命感が気持ちを奮い立たせました。呉服で培った知識と経験を活かし、試行錯誤を繰り返しながら信頼をひとつずつ重ねていき、踊り衣装のご依頼が徐々に増えていきました。

　阿波踊り衣装のご依頼が定着したのと同時に、小物や鳴り物も購入したいというご要望が増え、少しずつ阿波踊りに必要な用品を揃えるようになりました。次第に店内は、呉服の反物は影を潜め、阿波踊り用品でにぎわうようになりました。既製の物では、不具合を感じる物は、自らの踊りの経験やお客様のお声をもとに自社で企画・開発するようにもなっていきました。

　そうしてどっぷりと阿波踊りの世界へと身を投じ、気がつけば、阿波踊りの衣装や鳴り物、小物までもすべて取り扱う阿波踊り専門店になったのです。

　呉服屋と阿波踊りの人生がはじまってから早数十年。お客様や踊り連の方からの叱咤激励により今日に至るまであたたかく育てていただきました。

　近年、阿波踊りは徳島のみならず、全国へ、そして世界へと広がりを見せています。阿波踊りと共に歩んで半世紀、よき伝統をしっかりと守りながら、日々進化を遂げる阿波踊りと一緒に新しいものを生み出し続けることがわたしたちの使命であると感じています。